NEWS
本日配信リリースの「修羅場」オフィシャル・ライナーノーツ公開!
本日配信リリースの「修羅場」
オフィシャル・ライナーノーツ公開!
濃度100%の漆黒で描き出す人間の悲しき性
バンド結成25周年記念公演を3月に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールにて盛大に行い、アニバーサリーイヤーを駆け抜けたTHE BACK HORN。次なる一手は“光と影”をテーマにしたコンセプトシングルの4作連続配信リリースで、「修羅場」はその第1弾作品にあたる。
菅波栄純が作詞作曲した「修羅場」は“影”がテーマの楽曲。人間のダークサイドを描くにあたって菅波が採用したのは、心の闇が如実に現れる不倫のメタファーだ。週刊誌による不倫報道が盛んに飛び交い、またサレ妻・サレ夫による暴露投稿がSNSを賑わせている現代社会において、不倫は万人に馴染みのあるトピックと言えるのではないだろうか。そして相手が浮気しているかもしれないという“猜疑心”、それが事実とわかった時の“憤怒”や相手への“罵詈雑言”、すべてを放り投げ出したくなる“虚無感”といった負の感情や行為は、生きていれば誰しもが抱くもの。それらの心情の動きと呼応するように、Aメロの不安感を掻き立てる重苦しいビートから、感情の爆発を想起させるサビの歪んだギター、その直後の相手を煽るようなクラップ音、間奏での“男女の修羅場”のような切り刻まれたノイズ、哀愁を誘う落ちサビのメロディまで目まぐるしくサウンドが変化していき、聴く者の感情を揺さぶってくる。
特筆すべきは曲の終わり方だ。《海に身を投げ 眠ろうか》《嗚呼 好きでした》と落ちサビで生への別れを告げたあと、シンバルが高らかに鳴り響く。これは間奏が始まる時と同じ展開で、ここからアウトロにつながるのかと思いきやカットアウトで突然終了。まるで人生の幕が下ろされたかのような強烈な余韻を残す。誤解を恐れずに言えば、そこに救いはない。このように終始一貫して濃度100%の漆黒でキャンバスを塗りつぶすことで、THE BACK HORNという唯一無二のバンドの個性を浮かび上がらせている。一方、サウンド面ではUKドリル、ハードロック、ジャージークラブ、グリッチコア、さらには演歌といったさまざまなジャンルを呑み込んだ“THE BACK HORN流ミクスチャーロック”を提示。つまり、最新のサウンドアプローチで普遍的な人間の悲しき性を炙り出したのが「修羅場」である。THE BACK HORNが長きにわたって第一線で活躍し続けている理由が、この曲には詰まっている。
TEXT / 花丸明
Digital Single
「修羅場」
2024年7月3日(水)リリース
▼各配信サービスURL
https://jvcmusic.lnk.to/Shuraba
▼Music Video
2024年7月からコンセプトを掲げた配信シングル作品を複数に亘ってリリース。
テーマは「光と影」。
「影」をコンセプトに制作した楽曲では、THE BACK HORNが結成当初から向き合い描いてきた人間の心の闇や社会に渦巻く闇を題材に、歌詞とサウンドの両面からダークな世界観を表現していく。 そして「光」をコンセプトに制作した楽曲では反対に、人々が共生して前向きに生きていくことを肯定し、鮮やかで生命感あふれる世界観を描いていく。
光を浴びた人間の裏側には必ず影が存在する。
光と影の両面で蠢く人間模様をTHE BACK HORNが描き出すコンセプトシリーズ。